発達障害で白黒思考が強い人の困り事と改善法

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発達障害で白黒思考が強い人の困り事と改善法

発達障害では、脳の特性により物事の捉え方や考え方が大きく偏ってしまうことがあります。ASD(自閉スペクトラム症)で多いのが、「完璧主義で失敗したくない」「あいまいな物事に強く不安を感じる」「思い込みが激しい」などの特徴を持つ白黒思考と呼ばれる思考です。

この白黒思考によって、日常生活では人とのトラブルが多くなる、間違えるのが嫌でテストが受けられない、同じことでずっと悩んでしまうなどのさまざまな問題が生じ、子ども達は生き辛さを抱えています。

本記事では、発達障害の人に見られる白黒思考での困り事とその改善方法を紹介します。ネガティブな思考のクセから抜け出すために、ぜひお役立てください。

発達障害に見られる白黒思考ってどんな思考?

発達障害に見られる白黒思考ってどんな思考?

白黒思考とは、言葉の通り「白黒つけてはっきりさせたい」思考のことです。別名二極思考とも呼ばれます。物事のあいまいな状態に強く不安を感じ、はっきりさせて安心したい欲求を強く持ちます。

この思考の特性は、発達障害を持つ人に多いと言われています。

関連記事:自閉症児に多い白黒思考には根気よく対応することが必要です。

ASD(アスペルガー)に多い極端に偏った考え方

白黒思考は、発達障害の中でもASDの人に多いのが特徴です。

ASDの特性である対人関係やコミュニケーションの困難、こだわりの強さが白黒思考を助長させていると考えられます。

ASDの特性はこちらの記事でも紹介しています。

関連記事:ASDの脳の特性から起こる症状

では、白黒思考を持っている人には、具体的にどのような行動の傾向があるのでしょうか。

発達障害により白黒思考に陥りやすい人の特徴

発達障害により白黒思考に陥りやすい人の特徴

ASDをはじめ発達障害で白黒思考に陥りやすい人には、以下の特徴があります。

  • 完璧主義で自分にも他人にも厳しい
  • 批判的な言動が多い
  • 視野が狭くて人の意見が聞けない
  • 0か100で思考に柔軟性がない
  • 完璧主義で失敗を怖がる

どの特徴も生きにくさが想像できるものばかりです。1つずつ詳しく解説していきます。

完璧主義で自分にも他人にも厳しい

完璧主義で、少しでも失敗したり間違えたりするとすべてがダメだと考えてしまいます。そのため、ちょっとしたことでも自分を責めやすくなります。また、自分だけでなく他人にも厳しくなる傾向があり、ルール違反や頑張らない人を許せないと考える特徴があります。

ASDの特性で相手の立場に立って考えることが難しいため、それをはっきりと口にしてしまい気まずくなってしまうことがあります。

関連記事:発達障害では完璧主義という特性を持つ場合があり適切な対処が必要です。

批判的な言動が多い

はっきりしないことや中途半端なことが受け入れられない、ルール違反が許せないなどの思考の特徴から、周囲の人に対して憤りを感じやすく、批判的な言動が多くなりがちです。批判的な言動が多いと、人との対立も増えてしまいます。

視野が狭くて人の意見が聞けない

ASDの人は、興味関心が偏っていて視野が狭くなりやすい特性を持っています。興味が持てないものは受け入れられない、人がなんと言おうと正解はこれだけだと思っていることがあります。

そのため、自分の考えを押し通そうとして人とトラブルになりやすくなります。

0か100で思考に柔軟性がない

物事を0か100の両極端でしか見られず、柔軟に考えることができません。

テストは100点でなければ意味がない、頑張っても結果が出なければ自分はダメな人間だなどと考えてしまいがちです。

また、「これはこうすべき」と考えてしまい、ほかのやり方は受け入れられずパニックになってしまうことがあります。

 完璧主義で失敗を怖がる

社会生活の中では、ときにはあいまいさを受け入れること、妥協することも必要なスキルです。しかし、白黒思考があることでそれが難しく、子ども達の学校生活では対人関係、学習面、生活面でさまざまな困り事が起こります。

子ども達の学校生活では、具体的にどのような困り事があるのか見ていきます。

対人関係での問題

白黒思考によって生まれる対人関係での問題は、主に2つあります。

  1. 1.思い込みでトラブルになる
  2. 2.自分の考えが最後まで曲げられない

なぜこのような問題が起こるのか、詳しく解説します。

思い込みでトラブルになる 

思考が極端なために勘違いや思い込みが多くなり、人とのトラブルに繋がります。

例えば、

自分を注意してきた先生に対し、行動を指摘されたにもかかわらず、自分が嫌われているのだと思い込む

友達に意見を反対されて、友達への一気に印象が悪くなり、それから仲良くできなくなる

近くで友達が集まって話しているのを見て、自分の悪口を言っていると勘違いする

このような勘違い・思い込みから、周囲の人と気まずくなることやトラブルが起こりやすく、うまく人間関係を築いていくことが難しくなります。

自分の考えが最後まで曲げられない

「これはこうするべき」「これ以外は悪」などの思い込みがある人は、その考えを曲げることは困難です。そのため、考えが違う他人とは意見が対立しやすく、譲ることも難しいため、揉め事が長く続きがちです。

学習面での問題

白黒思考は学習面にも大きな影響を与えます。代表的な例を2つ挙げます。

  1. 1.間違うことが嫌でテストが受けられない
  2. 2.理想のイメージにこだわりすぎて作業が進まない

これらは主に完璧主義の特性からくる問題です。詳しく解説します。

間違うことが嫌でテストが受けられない 

間違うことが嫌でテストが受けられない 

テストはすべての解答欄を埋めたいし、そうでなければダメだと考えます。そのため、わからない問題があるとそこから先に進めなくなったり、書いた答えが合っているか心配で1問ずつ先生に確認したりしてしまいます。

間違えることを極端に嫌がり、テストを受けること自体ができなくなってしまうことがあります。

理想のイメージにこだわりすぎて作業が進まない 

「自分の中での理想どおりに完璧に仕上げたい」思いが人一倍強くあり、妥協ができません。そのため、とくに図工や家庭科などの製作では作業に時間がかかりすぎて、課題を完成させられない問題が起こりやすくなります。

生活面での問題

白黒思考は生活のあらゆる場面に影響し、生きにくさにつながります。生活面での困り事の代表的なものを3つ挙げます。

  1. 1.他人からの評価を気にしすぎる
  2. 2.1つのことでずっと悩んでしまう
  3. 3.暗黙のルールに対応できない

なぜ白黒思考がこのような困り事につながるのか、解説します。

他人からの評価を気にしすぎる 

失敗を恐れるあまり、他人からの評価を気にしすぎる傾向があります。少し注意されると自分は相手から嫌われたと拡大解釈をしてしまったり、自分はダメな人間だと思い込んだりしてしまいます。

そのため、何も対策をしないままだと、関わる人の数が多い学校は発達障害を持つ子ども達にとって居づらい場所になりやすいと言えるかもしれません。

1つのことでずっと悩んでしまう 

完璧主義や、物事を良いか悪いかだけで考えてしまう極端な思考のため、ネガティブな体験があるととことんマイナスの思考になりがちです。

また、ASDでは先の見通しを持つことが苦手な特性もあります。そのため今起きたことがずっと頭から離れなくなり、同じことで長く悩み続けてしまう傾向があります。ひどい場合は、自分を責めすぎて自分の存在や人格までも否定してしまうため、注意が必要です。

暗黙のルールに対応できない 

世の中には、はっきりと決められているわけではないけれど、多くの人が守っている暗黙のルールと呼ばれるものがたくさんあります。

学校生活の中では、例えば以下のようなことが暗黙のルールとして存在していると考えられます。

<学校生活での暗黙のルール>

授業中に発言するときは手を挙げて当てられてから話す

始業前に授業の準備をして席に着いて待つ

給食は食べ終わってからおかわりをする

掃除の準備は手が空いた人から始める

友達が大きな荷物を運んでいて大変そうだったら手伝う

友達が人と話をしていたら区切りがいいところまで話しかけるのを待つ

ASDでは、こうした暗黙のルールを理解することが苦手です。それが周囲の人には「空気が読めない」「自分勝手」などと捉えられてしまうことがあります。注他人から言動を意されても自分のルールを曲げることができず、ほかの人にあわせることが困難です。

また、目に見えないことやはっきり決まっていないことに不安や憤りを感じるため、なんでも白黒はっきりさせようとすることで友達とトラブルになってしまうことがあります。

このように、白黒思考は学校生活の中で多くの困り事につながっています。とくに人間関係での困り事は年齢とともに増大し、生き辛さに直結するので早期の対応が必要です。

次に、白黒思考を改善していくための方法を紹介します。

極端な白黒思考から抜け出す方法

極端な白黒思考から抜け出す方法

日常生活に多くの支障をきたす白黒思考から抜け出し、生活を送りやすくするための方法を4つ紹介します。

  1. 1.リフレーミングで思い込みをなくす
  2. 2.自分を客観的に見る習慣をつける
  3. 3.次に向けて思考を切り替える
  4. 4.人に相談する

1つずつ、具体的に解説します。

リフレーミングで思い込みをなくす

出来事に対して怒りや不安を感じたり落ち込んだりしたときに、それが長引いてネガティブな感情がコントロールできなくなってしまうのが白黒思考を持つ人の特性です。

最初から思考をコントロールするのは難しいですが、一度立ち止まって出来事を別の角度から見てみると、考え方が変わって気持ちが落ち着いてきます。この思考をリフレーミングと呼びます。ポジティブな側面や良い結果に注目をして、物事を捉えてみましょう。

<リフレーミングの例>

「失敗したけど、新しい友達ができた」

「完成はできなかったけど、半分はできた」

「失敗するのは怖いけど、失敗したことがない人はいないから大丈夫」

このように、結果が思ったとおりにならなくても、そこまでの過程や別の側面で良い部分を見つけられるように考えてみると、心が落ち着きます。

自分を客観的に見る習慣をつける

思考が極端になっているときは、物事を主観的にしか見られなくなっているため、客観的に考え直すようにします。

主観的とは自分一人の物の見方や考え方によるもので、それに対して客観的とは自分の主観にとらわれず、第三者目線で見たより多くの人が納得できるものの見方です。

<客観的に見る例>

「自分は頑張らなかったから怒られたと思っていたけど、指示されたことをやっていなかったから怒られただけだった」

「自分はAが一番正しいと思っていたけど、相手にとってはBが正しいのかもしれない」

物事を客観的に見るためには、自分の言動を振り返ったり、ほかの人の意見を聞いてみたりすることが有効です。感情的になっている場合は、一度冷静になってから考えてみると、物事を広い視野で正確に捉えられるようになるでしょう。

次に向けて思考を切り替える

うまくいかなかったときに反省をするのは大事なことですが、終わったことをいつまでも考えていても思考はネガティブになるばかりです。

今回失敗したことは一度受け止めて、思考を未来に向けてみると前向きな気持ちに変わります。

<次に向けて思考を切り替える例>

「これは失敗したけど、新しいことを探す良い機会になりそう」

「こだわりすぎて最後までできなかったけど、自分は丁寧な作業が得意だから将来に活かせるかもしれない」

「もしこうしていたら成功したかもしれない。もう一度やってみよう。」

「失敗したのは自分に向いていないからかも。違うことに挑戦してみよう。」

急にここまでスムーズに考えるのは難しいかもしれません。また、無理をして思考を切り替えられなくても問題ありません。まずは、こういう考え方もあるということを知っておくだけでも、心の余裕が違ってきます。

人に相談する

ここまで自分で考え方を工夫してみる方法を紹介しましたが、極端な思考は脳のクセによって生まれているため、なかなか自分だけで改善するのは難しいものです。

改善が難しくて辛いときには、専門機関に相談してみることも大切な手段です。全国の発達障害者支援センター、児童発達支援センター、精神保健福祉センター、保健所・保健センター、子育て支援センターなどで相談ができます。

困ったときの相談先|厚生労働省

そのほか、放課後等デイサービスで療育を受けることも改善につながる方法としておすすめです。私たち「こどもプラス」でも放課後等デイサービスの教室を全国に展開し、お子さんやご家族の悩みに寄り添いながら支援を行っています。

こどもプラスの運動遊び「プチリレー」の紹介

こどもプラスの運動遊び「プチリレー」の紹介

運動遊びは子ども達が遊びの中で気持ちの切り替えや柔軟な思考を身につけ、スムーズな人間関係を学んでいくことができるので、療育に最適だと考えています。

今回は、放課後等デイサービスの教室「こどもプラス」が提供する運動遊びの中から「プチリレー」を紹介します。

<遊び方>

  1. 1.子ども達を数人ずつチーム分けし、リレーを行います。
  2. 2.自分の順番が来たらスタートラインで準備し、バトンを受け取り走ります。
  3. 3.次の順番の友達にバトンを渡したら待機場所で応援をします。

チーム対抗リレーなので、自分のチームの友達や走る順番を覚えておくこと、バトンの受け渡しをスムーズに行うことが大事です。

仲間を応援するのに夢中で順番を忘れてしまったり、走ることに必死でバトンを忘れてしまったりすることがあるので、友達同士で声をかけあうことも覚えていきます。

こうした活動の中で、社会性もしっかりと身につけていくことができます。

こどもプラスの運動遊びは、社会性や協調性など運動以外の部分の育ちを大切にしていますが、もちろん運動能力を育てることにも長けています。

「速く走れるようになりたい」「かけっこで1位になりたい」というお子さんは多いので、それに応えられるような運動遊びも豊富に揃えています。

公式インスタグラムで一部紹介しているので、あわせてご覧ください。動画付きでわかりやすく説明しています。

「かけっこトレーニング」

子どものQOLを上げる運動療育を提供します

子どものQOLを上げる運動療育を提供します脳の思考のクセは生まれつきのもので、自分の意識だけで変えていくことは困難です。周囲にいる人の理解と専門的な支援が欠かせません。

「こどもプラス」の運動療育は脳科学に基づいているので、思考や感情をコントロールしている脳へのアプローチが可能で、高い療育効果が期待できます。

私たちの放課後等デイサービスの教室では、お子さんやご家族が今感じている困り事、将来への不安を少しずつ解消していきながら、QOLを上げるサポートを提供していきます。

私たちが提供している運動療育プログラムの詳細は、こちらをご覧ください。

こどもプラスの運動療育プログラム

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